「ノンアルコールビールはお酒じゃないから、子どもに飲ませてもいいのかな?」
子どもは大人の真似をしたがるので、親が美味しそうに飲んでいるビールをほしがるのは当然のこと。「ノンアルビールなら少しくらい飲ませても大丈夫」、そう思ってしまうのも無理はありません。
しかし、実はアルコールが入っていなくても、未成年者を含む子どもにとってノンアルコールビールはNGなんです。
今回は子どもにノンアルビールがダメな理由と、飲んだ際のリスクについて詳しく解説します。
ノンアルコールビールを子どもが飲むのはNGの理由
ここでは、なぜ子どもがノンアルコールビールを飲んではいけないのか、その理由を解説します。
- 法律上は子どもが飲んでも問題ない
- 飲酒習慣のきっかけになる恐れがある
お子さんが「ノンアルコールビールを飲んでみたい」と言ってきたときに、飲ませないよう指導する参考にしてくださいね。
法律上は子どもが飲んでも問題ない
未成年者の飲酒は法律上禁止されていますが、ノンアルコール飲料を飲むことを禁止する法律はありません。
したがって子どもがノンアルコールビールを飲んでも、「法律上」は問題ないといえるでしょう。
しかし、ノンアルビールを製造する企業はすべて、「子どもが飲むことは推奨しない」としています。
Q. ノンアルコールを20歳未満者が飲んでも大丈夫?
A. 法律上問題はありませんが、20歳未満の方の飲用はお薦めしません。本商品は、20歳以上の方の飲用を想定して開発しました。
参考:アサヒビール|お客様相談室
ノンアルコールビールは本来、飲酒可能な成人が飲むことを想定して作られているため、「子どもでも飲んでよい飲み物ではない」と知っておきましょう。
飲酒習慣のきっかけになる恐れがある
ノンアルコールビールがきっかけとなり、飲酒習慣ができてしまう恐れがあります。
主な理由は以下のとおりです。
- ノンアルコールビールを飲んだことで、本物のビールに手を出すハードルが低くなる
- ノンアルコール飲料で、酒の味や香りに興味を持つ
そのため国やビールメーカーは「ノンアルコール飲料が飲酒のきっかけになる」として、未成年者への販売を推奨していません。
子どもに推奨されないノンアルコールビールとは
ここからは、「どういったノンアルコールビールが子どもに推奨されないのか」について説明します。
- そもそものノンアルコールビールの定義
- 販売に関するルール
- 宣伝や広告・表示に関するルール
それぞれ見ていきましょう。
そもそものノンアルコールビールの定義
日本の法律では、アルコール分1度以上の飲料を酒類と定めているため、ノンアルコールビールは酒に該当しません。
簡単に言うと、ノンアルコールビールとは「アルコール度数が1%未満でビールテイストの飲料」です。
さらに、想定される飲用者が「満20歳以上」と限定されている商品を指します。
1 ノンアルコール飲料の定義
参考:酒類の広告審査委員会|ノンアルコール飲料関係
ノンアルコール飲料とは、アルコール度数0.00%で、味わいが酒類に類似しており、満20歳以上の者の飲用を想定・推奨しているものとする。
次は、ノンアルコール飲料の販売や宣伝に関するルールを見ていきましょう。
販売に関するルール
ノンアルコールビールを含めたノンアル飲料は、子どもが簡単に手に入れられないよう、販売者側にも配慮が求められます。
具体的には以下のとおりです。
- 清涼飲料水コーナーではなく、酒類コーナーに置いてある
- 酒類と同じく年齢確認を実施する
そもそも子どもをターゲットとして、酒に似せて作られた飲料(「シャンメリー」や「こどもののみもの」など)と異なり、大人向けノンアルコール飲料は酒類コーナーに置いてあります。
また他の酒類と同様に、大多数の店舗ではノンアル飲料にも年齢確認がなされるため、未成年者は購入できません。
これらのルールは法律で規定されているわけではなく、販売者側の自主性に任されており、すべて「子どもにノンアルコール飲料を飲ませない」ためのものです。
宣伝や広告・表示に関するルール
ノンアルコール飲料の宣伝や広告・表示に関する自主的なルールもあります。
以下に一例を挙げます。
- 20歳未満の者を広告のモデルに使用しない
- 20歳未満の者の飲用を推奨、連想、誘引する表現は行わない
- 主として20歳未満の者にアピールするキャラクター、タレントを広告のモデルに使用しない
- 小学校、中学校、高等学校の周辺100m以内に、屋外の張替式大型商品広告板は設置しない
またノンアルコール飲料の缶にも「20歳以上の者を対象としている旨」が表示されており、各メーカーが未成年者の飲用を防止するため自主的に行っています。
このようにさまざまなルールが設けられていることから、ノンアルビールを含めたノンアルコール飲料は「子どもに飲用させない・飲用を推奨しない」意図があるとわかりますね。
ノンアルコールビールが子どもに与える悪影響
この章では、ノンアルコールビールが子どもに与える悪影響について解説します。
具体的には以下の3つです。
- アルコールへの抵抗感がなくなる
- 添加物の影響を強く受ける可能性がある
- 微量のアルコールが含まれている商品もある
1つずつ説明していきますね。
アルコールへの抵抗感がなくなる
ノンアルコール飲料を飲むと、本物のアルコール飲料に対する抵抗感がなくなってしまいます。
厚生労働省の調査で、ノンアルコール飲料を飲んだ経験のある人はない人と比べて、将来的にアルコールを飲む可能性が約4.5倍も高くなるとのデータが示されました。
未成年者にとってノンアル飲料が飲酒の入り口になっている可能性は否定できないため、安易に勧めることのないようにしましょう。
添加物の影響を強く受ける可能性がある
味を本物のビールに近づけるため、多くのノンアルコールビールには、人口甘味料などの添加物が含まれています。
添加物は誰にとってもネガティブなものですが、子どもにとってはさらに好ましくありません。
その理由は以下の4つです。
- 大人に比べて体重あたりの摂取量が多くなる
- 代謝が未発達なため添加物の処理能力が低い
- 正しい味覚の形成が阻害される
- 子どもに必要な栄養素が不足する
人工甘味料だけでなく、香料や着色料といった添加物が人体に与える影響は、実際のところまだ完全には明らかになっていません。
そのため子どもの食生活からはできるだけ添加物を取り除くように、大人が配慮する必要があります。
ノンアルコールビールに限ったことではありませんが、少なくともノンアル飲料は子どもの成長に不要です。
成人するまでは、なるべく飲ませないよう心がけたいものですね。
微量のアルコールが含まれている商品もある
「ノンアルコールビール」との記載があっても、微量のアルコールが含まれている商品もあります。
これは日本の法律上、アルコール度数が1%未満であれば「ノンアルコール」と表示することが認められているからです。
微量とはいえアルコールが含まれているため、酒に酔ったり気分が悪くなったりする場合もあります。
身体機能が未成熟かつ体の小さい子どもの場合、さらに影響は出やすくなるため注意が必要です。
【恐怖】子どもがアルコール入り飲料を飲むとどうなる?
ここでは、子どもがアルコール入り飲料を飲んだときの恐ろしいリスクについて、以下3つの観点から解説します。
- 身体的な影響
- 精神的な影響
- 犯罪や暴力行為に巻き込まれるリスク
多くの人は「うちの子には関係ない」と思っているかもしれません。
しかし、実は簡単に起こり得ることなのです。
子どもがアルコール飲料を口にするには、友人関係や好奇心などさまざまな原因が考えられます。
さらに、以下の例を見てみましょう。
- ノンアルコールビールを入口として、アルコール入り飲料に興味を持った
- そもそもノンアルコールだと思っていた商品に微量にアルコールが含まれていた
このようにノンアルコールビールがきっかけとなって、アルコールを飲んでしまうパターンも無視できません。
未成年のお子さんを持つ保護者の方は、アルコールのリスクについてあらかじめ十分に知っておきましょう。
身体的な影響
最初に紹介するのは、アルコールが身体に及ぼすネガティブな影響です。
以下の3つは必ずおさえておきましょう。
- 急性アルコール中毒になりやすい
- 脳や体の発達を阻害する
- アルコール関連の疾患を引き起こす
それぞれ説明します。
急性アルコール中毒になりやすい
一般的に、子どもは大人に比べてアルコール中毒になりやすいとされています。
その主な理由は、以下の3つです。
- 体が小さいため体内のアルコール濃度が急激に上昇するから
- 飲酒に慣れておらず飲み過ぎる恐れがあるから
- 子どもの脳は発達途中であり、外部からの刺激に敏感だから
急性アルコール中毒は非常に危険で、対処が遅れると命を失う恐れもあるため、もっとも回避しなければならない事態だと心得ておきましょう。
脳や体の発達を阻害する
アルコールは脳の神経細胞に影響を及ぼし、脳萎縮をもたらす危険性をはらんでいます。
また、成人よりも未成年者の脳の方がアルコールの影響を受けやすいため注意が必要です。
さらにアルコールは成長に必要な栄養素の吸収を妨げたり、睡眠の質を低下させたりすることも知られており、発達途中の体にとって決して好ましくはありません。
アルコール関連の疾患を引き起こす
アルコールの長期摂取や大量摂取が原因で引き起こされる疾患は無数にあります。
代表的なものを挙げてみましょう。
症状が出てくる部位 | 主な症状 |
---|---|
食道 | 食道炎、、食道静脈瘤、食道がん |
胃 | 胃炎、胃潰瘍、胃がん |
心臓 | 心筋症、不整脈 |
肝臓 | 脂肪肝、肝炎、肝硬変、肝臓がん |
十二指腸 | 十二指腸炎、十二指腸潰瘍 |
生殖器 | 性機能障害、月経不順、不妊 |
アルコールを大量摂取しているからといって、これらの疾患は必ず起こるものではなく、体質や遺伝的な要素も大きく影響します。
ただし未発達な子どもの体にとって、アルコールが与えるマイナスの影響は計り知れないと思っておいた方がよいでしょう。
精神面への影響
次に、子どもがアルコール飲料を飲むことで考えられる精神面へのネガティブな影響を解説します。
- アルコール依存症を発症しやすい
- 心理的発育が停止する
- 健全な性格が形成されない
それぞれ見ていきましょう。
アルコール依存症を発症しやすい
アメリカで行われた研究では、飲酒開始年齢が早ければ早いほど、将来アルコール依存症になりやすいというデータが報告されました。
未成年は友人や仲間からの影響を受けやすく、酒に対して自己抑制がききにくい年代でもあります。
ストレス解消やリラックス効果などの「快感」と酒を安易に結びつけ、アルコール依存症に陥るケースは少なくありません。
心理的発育が停止する
アルコールは脳の神経細胞を破壊するため、精神的な成長や心理的発育を妨げます。
「さまざまな葛藤や将来への希望を抱きながら、目標に向かって努力する」という姿勢がなくなってしまうのです。
酒を飲んで「もうどうでもいいや」と投げやりな気持ちになること、大人でもありますよね?
将来なんてどうでもいいと考える、無気力な大人を生まないためにも、子どもの日常からはアルコールを遠ざけなければなりません。
健全な性格が形成されない
思春期は知性も感情も大きく発達する大切な時期です。
もしその時期の脳の発達がアルコールによって阻害されると、「怒りっぽくなる」「自己中心的になる」など、情緒面が不安定になります。
また、ストレスへの正しい対処法を身につけられずに成長してしまう点も心配です。
犯罪や暴力行為に巻き込まれるリスク
最後に解説するのは、犯罪や暴力行為に巻き込まれたり、加害者となったりするリスクです。
酒で気が大きくなり、周囲の人と喧嘩をしてしまうことは大人でも珍しくありません。
ましてや精神が未成熟な子どもだと、暴力沙汰に発展する可能性はさらに高くなるでしょう。
アルコールで理性的な行動ができなくなり、薬物や性犯罪などのトラブルに巻き込まれる可能性にも注意が必要です。
ノンアルコールビールと子どもに関するQ&A
ここからは、ノンアルコールビールと子供に関してよく聞かれるQ&Aを解説します。
- 子どもは何歳からノンアルコールビールを買えるの?
- 居酒屋で子どもがノンアルを飲むのは問題ない?
- 子どもにノンアルコールビールを飲ませたら罰せられる?
- 20歳未満の子どもがノンアルコールビールを飲みたいと言ったら?
- ノンアルコールビールを買うときに年齢確認はされる?
上の質問5つをそれぞれ説明するので、日頃から疑問に思うことがあれば目を通してみてくださいね。
子どもは何歳からノンアルコールビールを買えるの?
実は「子供がノンアルコールビールを買ってはいけない」と定めている法律はありません。
しかしコンビニやスーパーなど多くの小売店では、飲酒習慣につながってしまうことを懸念して、未成年へのノンアルコールビールの販売を自粛しています。
他のアルコール入り飲料と同様に、「ノンアルコールビールを購入できるのは20歳を過ぎてから」と考えるのが一般的でしょう。
居酒屋で子どもがノンアルを飲むのは問題ない?
前提として、「未成年者にノンアルコール飲料を提供してはいけない」といった法律は存在しません。
そのため、居酒屋で子どもがノンアルを飲めるかどうかは、その店舗や保護者の判断に拠るところが大きいといえるでしょう。
子どもにノンアルコールビールを飲ませたら罰せられる?
ノンアルコールビールは酒ではないため、未成年者を含む子どもに飲ませたからといって罰せられることはありません。
ただし「法律上で禁止されていないから飲ませてもよい」というわけではないので、注意しましょう。
ノンアルコール飲料を子どもが飲むことに関して、サントリーは以下の見解を示しています。
あくまで20歳以上の方を対象につくられた商品です。法律上問題はありませんが、アルコールを飲用するきっかけとなる恐れもあるため、20歳未満の方の飲用はお止めください。
参考:サントリー|お客様センター
また、大人も子どもにすすめないでください。
ビールメーカーは未成年者のノンアルコール飲料の摂取を推奨していません。
そのことを踏まえて、安易に子どもにノンアルコール飲料を飲ませてしまうことのないようにしましょう。
20歳未満の子どもがノンアルコールビールを飲みたいと言ったら?
20歳未満の子どもがノンアルコールビールを飲みたいと言ってくるのは、珍しいことではないでしょう。
しかしこれまで紹介してきたように、たとえノンアルであっても未成年者にはリスクが伴います。
子どもが飲んでみたいと言ってきた場合は、
- お酒ではないが、20歳以上の人の飲用を想定して作られている
- 未成年の飲酒習慣につながってしまう恐れがあるため、成人してから飲んでほしい
といったことをはっきり伝え、大人になるまでは飲まないように言い聞かせましょう。
ノンアルコールビールを買うときに年齢確認はされる?
コンビニやスーパーなど多くの小売店では、ノンアルコールビールの未成年への販売を自粛し、年齢確認を実施しています。
ただし、他のアルコール入り飲料のように「必ず年齢確認が行われる」というわけではなく、店舗の判断に委ねられている部分が大きいでしょう。
まとめ
今回は、ノンアルコールビールが子どもにとってなぜNGなのか、どのような悪影響をもたらすのかについて解説しました。
10代は心も体も発達の段階にある大切な時期です。
ノンアルコールビールをきっかけに酒に興味を持ったり、早いうちから飲酒習慣をつけてしまったりすることのないよう、大人が子どもたちを守らなくてはなりません。
心身がともに成長し、成人してから節度をもって楽しめるように、日頃から酒のルールやリスクについて伝えていきたいものですね。
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