ノンアルコールビールを飲むと眠くなると感じる方も多いはず。
ノンアルコールビールに含まれる成分によって、睡眠や健康にもうれしい効果を得られることがわかっています。
今回はノンアルコールビールを飲むと眠くなる理由や健康効果について解説します。
睡眠のどれぐらい前に飲むとよく眠れるかも紹介していますので、ノンアルコールビールの効果を詳しく知りたい方は最後までご覧くださいね。
ノンアルコールビールを飲むと眠くなる!
ノンアルコールビールを飲むと眠くなるのは、自律神経を整える作用があるためです。自律神経が整いリラックス効果が得られることで、安眠につながります。
実際に、京都大学と酒造メーカーが共同で行った実験で、ノンアルコールワインを飲むとリラックス効果を得られることが判明。ノンアルコールビールでも同じ効果を得られるとしています。
実験の内容は次のとおりです。
- 22人の男女にノンアルコール・ワインを150ml飲んでもらう
- 飲んだあとの、自律神経の働きを装置で測る
この実験によって、下記のような結果が得られました。
- 普通のワインを飲んだ時と同じように、ノンアルコール・ワインでも楽しさや高揚感の数値が上昇
- リラックス度合いは、普通のワインより高い数値であることが判明
- ノンアルコール飲料でもほろ酔い気分を味わえる
実験に参加した山崎英恵准教授は、この結果は脳の記憶によるものとの見解を示しています。
ノンアルコール飲料を飲むと、アルコールによる酔いと心地よさがよみがえり、気分が高揚して楽しくなる可能性があるとのこと。また、アルコールが入っていないノンアルコール飲料では、悪酔いしない安心感もリラックス度合いが高まる理由のひとつのようです。
最近、寝つきが悪い人や寝酒して眠れなくなる人は、リラックス効果が期待できるノンアルコールビールに変えてみるのもいいかもしれませんね。
ノンアルコールビールを飲むと眠くなる理由
ノンアルコールビールで眠くなるのは、以下の理由があります。
- GABAが睡眠の質を向上させるため
- ホップがイライラや興奮を鎮めるため
- アルコールによる睡眠障害が起こりにくいため
ノンアルコールビールの原料や成分、アルコールの有無が睡眠と関係しているようですね!
下記でそれぞれ詳しく解説してきます。
GABAが睡眠の質を向上させるため
ノンアルコールビールには、アミノ酸の一種であるγ-アミノ酪酸のGABAが含まれるものもあります。
たとえば、サントリーの「あした想うALL-FREE(オールフリー)」。商品情報ページには、次のように記載されています。
本品にはGABAが含まれます。
サントリー あした想うALL-FREE
美味技術研究会誌に掲載されている論文によると、ノンアルコールビールにも含まれるGABAに高い精神安定作用があり、GABAが含まれる食品を食べれば、不眠、イライラ、倦怠感などの不調が改善されることがわかっています。
さらに、GABAの効果を高めるために、糖質が含まれる食品を一緒に食べるのも有効です。糖質は「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが脳で作られるように作用する物質で、セロトニンによって精神が安定しやすくなり、不快感や興奮が収まって安眠効果を得られます。
つまり、高い精神安定作用があるGABAと糖質を一緒に摂取すれば、お互いが効果を高め合い、寝つきがよくなる可能性があるのです。睡眠の質を向上させたい人は、糖質やGABAが配合されているノンアルコールビールを選びましょう。
GABAの詳しい機能はGlicoの「GABA成分ラボ」をご覧ください。
ノンアルコールビールと睡眠の質の関係性について、別のページでも詳しく解説していますのでご覧ください。
ホップがイライラや興奮を鎮めるため
ノンアルコールビールでは、ビールの苦味を再現するのにホップが使われています。ホップはアサ科の植物で、鎮静効果があることで知られ、古来から民間薬や生薬として使用されてきました。
鎮静効果とは下記の効果のことをいいます。
キリンホールディングスと三井不動産株式会社による実証実験で、熟成ホップが不安感や疲労感を改善させ、メンタルヘルスの改善につながることが判明しています。
実験の内容は下記のとおり。
- 23〜72歳の男女100名に、ノンアルコールビールを3週間にわたって飲んでもらう
- メンタルヘルスにどう作用するかを検証
この実験によって、熟成ホップが含まれるノンアルコールビールを摂取した3週間後に、気分の落ち込み、疲労感、不安感の減少、活気や活力の増加が見られたのです。
ノンアルコールビールによって、心が穏やかになれるのには驚きですよね!
アルコールによる睡眠障害が起こりにくいため
ノンアルコールビールにはアルコールが含まれないタイプもあります。※日本の法律ではアルコール分0.1%以下はノンアルコール飲料の扱い
寝酒するとよく眠れると考える人も中にはいますが、アルコールが体の中で分解されるときに交感神経が活発化し、夜中に目が覚めるようになります。
そのため、寝酒を続けてしまうと睡眠の質が落ち、寝たのに疲れが取れなかったり寝つきが悪くなる可能性が高いのです。また、アルコールによる利尿作用で、夜中にトイレに行きたくなって何回も起きてしまう場合も考えられます。
このようなアルコールによる睡眠障害を避けたい人は、アルコール分0.00%のノンアルコールビールを選びましょう。ノンアルコールビールにも利尿作用はありますが、ビールよりは少ないので安心です。
ノンアルコールビールと利尿作用については、別のページでも詳しく解説していますのでご覧ください。
ノンアルコールビールによる睡眠以外の健康効果
アルコールビールには、睡眠以外にもうれしい健康効果が期待できます。
- 新陳代謝の促進
- 腸内細菌のバランスが良くなる
- 更年期障害の改善
- ダイエット効果
- 高血圧のリスクを下げる
なぜノンアルコールビールで、このような健康効果が得られるのか気になりますね。
下記で詳しく見ていきましょう!
新陳代謝の促進
ノンアルコールビールに含まれるビタミンB群によって、新陳代謝を促す効果が期待できます。
ビタミンB群の詳しい働きを下記の表にまとめました。
ビタミンB群 | 働き |
---|---|
ビタミンB1 | ブドウ糖をエネルギーの変える働き |
ビタミンB2 | 脂質をエネルギーに変える、皮膚や粘膜の代謝 |
ビタミンB6 | 脳の働きや脂質の抗酸化に作用 |
ビタミンB12 | 神経を保護して政情は働きをサポートする |
ナイアシン | 脂質、糖質の分解やエネルギー生産の促進、神経症状の防止 |
ピオチン | 皮膚の健康や薄毛、白髪の予防 |
ビタミンB群を適度に摂取すると新陳代謝が促されるうえに、女性にうれしい美容効果も期待できます。新陳代謝が促されることで、お肌のターンオーバーが活発になり、肌質の改善に繋がるとされています。
またノンアルコールビールの安眠効果で、睡眠の質が高まると「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌が増加し、美肌に必要なヒアルロン酸やコラーゲンの生成が促進。「寝不足はお肌の大敵」とされているのは、お肌のターンオーバーの周期が寝不足で乱れるからです。
最近肌荒れに悩んでいる人は、睡眠不足ではないか考えてみましょう。
腸内細菌のバランスが良くなる
ポルトガルのノバ医科大学の研究グループは、ノンアルコールビールを飲む男性は腸内細菌叢の多様性が認められるという研究結果を明らかにしています。
この実験は下記のような内容です。
- 18〜65歳の健康な22人の男性にノンアルコールビール330mlを4週間毎日飲んでもらう
- 実験前と後の腸内細菌叢を測定
この結果、男性の多くに腸内細菌叢の多様性が認められ、腸内環境が良くなったことが判明。
聞きなれない腸内細菌叢とは次のとおりです。
腸内に棲んでいる細菌は、菌種ごとの塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。正式な名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」です。
引用:公益財団法人 長寿科学振興財団「腸内フローラとは」
人間の腸の中には100種類以上、40兆個以上の細菌が棲みついており、健康つくりには良い腸内環境が不可欠です。腸内環境が悪い場合、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞のリスクが高まる可能性があります。
今回紹介した研究によると、ビールも1日1本であれば、腸内環境の改善には有効であると指摘。ただ、飲み過ぎると体に悪影響を及ぼすため、アルコールが含まれないノンアルコールビールならその心配もないでしょう。
更年期障害の改善
ノンアルコールビールの原材料であるホップには、更年期障害を改善する効果が期待できます。
ホップにはフィトエストロゲンという女性ホルモンのような働きをする成分が含まれており、メディカルハーブとして女性特有の疾患に使用されてきました。
更年期障害の症状には、冷えやほてり、めまい、排尿トラブルなど、さまざまな症状がありますが、ホップはホットフラッシュと呼ばれるめまいやほてり、不快感などが軽くなるという研究結果も明らかになっています。
更年期障害がある女性にとって、ほてりやめまいなどの不快感がノンアルコールビールで軽くなるのはうれしいですね!
ダイエット効果
ダイエット中に気にするのがカロリーや糖質です。ビールに含まれるアルコールは食欲を増進する働きがあるため、飲み過ぎやおつまみを食べ過ぎる心配があります。
ノンアルコールビールには糖質やカロリーがゼロのタイプもあるので、ビールの代わりに飲むと、カロリーや糖質の摂りすぎを防げダイエット効果も期待できます。
さらにアルコール分0.00%のノンアルコールビールを選ぶと、アルコールを体内に取り込まずにすむので安心ですが、飲み過ぎるとカロリーや糖質過多になるため適量に抑えることが大切です。
高血圧のリスクを下げる
ノンアルコールビールには、高血圧の原因になるアルコールが含まれていません。わずかにアルコールが含まれるノンアルコールビールもありますが、血圧が気になる人はアルコール分0.00%のタイプを選びましょう。
アルコールの量と血圧の関係について、内閣府アルコール健康障害対策関係者会議では、1日のアルコールを飲む量が増加すると高血圧になるリスクが高いと指摘。
日本高血圧学会によると、高血圧は狭心症や心筋梗塞、心不全などの心疾患、脳梗塞や脳出血などの脳疾患、腎疾患を招き、命に関わる可能性もあるとしています。高血圧になって後悔する事態を避けるためにも、ビールの代わりとしてノンアルコールビールを利用するのも良い方法です。
ビールの好きな人はノンアルコールビールでは、物足りないと感じるかもしれませんが、ノンアルコールビールを飲み続けると飲酒量が減少するという筑波大学の研究結果もあります。
この実験では、20歳以上の男女に12週間ノンアルコールビールを飲み続けてもらい、実験が終わった8週間後までアルコール消費量が1日平均で11.5g減少したことが判明。
高血圧で深刻な病気を招く前に、ビールではなくノンアルコールビールに変えることを検討してみませんか。
ノンアルコールビールは夕食時に飲むのがよい
ノンアルコールビールを夕食時に飲むと、安眠やそのほかの健康効果を得るのに役立つ研究結果があります。
スペインの研究チームが行った実験内容は次のとおりです。
- 仕事に関するストレスを抱えている女性の看護師17人に、手首にセンサーを装着してもらい実施
- 夕食時にノンアルコールビール330mlを2週間飲み続けてもらう
- 夕食時にノンアルコールビールを飲まなかった看護師と比較
この結果、ノンアルコールビールを夕食時に摂取した看護師のストレスが緩和し、睡眠の質が向上したことが判明。
ノンアルコールビールに含まれるホップが快眠に導くと実証されました。
ノンアルコールビールによる睡眠への作用やそのほかの健康効果をより得るためにも、夕食の際にノンアルコールビールを取り入れてみてくださいね!
ノンアルコールビールと眠くなるに関するよくある質問
最後に、ノンアルコールビールと眠くなるに関する質問とその回答を解説します。
- ノンアルコールビールは肝臓に悪い?
- ドライゼロは眠くなる?
- ノンアルコールビールは飲んではいけないの?
それぞれ見ていきましょう!
ノンアルコールビールは肝臓に悪い?
ノンアルコールビールは、ビールに比べアルコール分が少ないため、肝臓への負担は少ない飲み物です。
そもそも、なぜ飲酒によって肝臓に負担がかかるかというと、体内に入ったアルコールは肝臓で分解されるため、アルコールの量が多いほど、肝臓に負担がかかるのです。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、異常が起こっていてもなかなか症状が現れない特徴を持ち、アルコールによって以下のような病気が引き起こされます。
アルコールが招く病気 | 概要 |
---|---|
脂肪肝 | アルコールの過剰摂取で肝臓に脂肪が蓄積された状態 |
アルコール性肝線維症 | 脂肪肝が進み、肝臓の組織が線維化した状態 |
肝硬変 | 肝臓で線維化した部位が増え、肝臓が硬くなった状態 |
肝臓がん | 肝臓の細胞ががん化した状態 |
ノンアルコールビールの成分表を見ると、アルコールが含まれている場合もあります。体を気遣いたい人は、アルコール分0.00%のノンアルコールビールを選ぶとより肝臓への負担が軽減されるでしょう。
ノンアルコールビールの肝臓への影響について詳しくは関連ページをご覧ください。
ドライゼロは眠くなる?
ドライゼロの口コミを調べると、下記のような意見がありました。
ドライゼロ飲むと、変に甘くて眠くなる。眠剤みたい
引用:X
ドライゼロ飲むといつも眠くなる不思議
引用:X
ドライゼロを飲むと眠くなる理由は、原材料にホップが入っているためです。(ドライゼロの商品情報ページ)。
「ノンアルコールビールを飲むと眠くなる理由」でも説明しましたが、ホップはイライラや興奮を鎮める鎮静作用がある植物です。その鎮静作用によって、ストレスが緩和されて穏やかになり、眠くなったと考えられます。
ホップは乾燥させてハーブピローとして利用されていた歴史もあります。ストレスが溜まって眠れない人は、ホップが入ったノンアルコールビールを飲むと安眠しやすいはずです。
ノンアルコールビールは眠れなくなる?
不眠の原因がノンアルコールビールなのかは不明です。
睡眠を妨げる成分としてアルコールが考えられますが、ビールよりノンアルコールビールのアルコール分は少ない、もしくは入っていません。
また始めにも記載しているとおり、ノンアルコールビールには自律神経を整える成分が入っているので、安眠効果が期待できます。
ノンアルコールビールを飲んで眠れなくなると感じる人は、アルコール分0.00%のものを選びましょう。
ノンアルコールビールは飲んではいけないの?
ノンアルコールビールには、人工甘味料やカラメル色素、苦味料といった人工添加物が含まれています。
人工添加物は適量を摂取するなら問題ありませんが、摂取過剰になると下記のような悪影響を及ぼす可能性があります。
- 糖尿病
- 腸内環境の悪化
- 脳卒中や心血管疾患のリスクが高まる
また、ノンアルコールビールを飲み過ぎると、カロリーや糖質の摂りすぎになり肥満になる恐れもあります。ノンアルコールビールの摂取量は、1日1本を目安にしているメーカーが多いようです。(サントリー、アサヒ、キリン)
ノンアルコールビールは、ビールにくらべカロリーや糖質は低いですが、だからといって飲み過ぎるのもよくありません。健康を第一に考え、適量を楽しむようにしましょう。
ノンアルコールビールに含まれる添加物について、別のページでも解説していますのでご覧ください。
まとめ
ノンアルコールビールを飲んで眠くなる理由は、ホップやGABAによって自律神経が整うためです。
これらの成分には鎮静作用があり、リラックス効果をもたらし、安眠につながります。また、睡眠を妨げるアルコールもビールより少ないので、夜中に何度もトイレに起きる回数が減るのもうれしいですね。
今回は、ノンアルコールビールで得られるさまざまな健康効果についても解説しました。ノンアルコールビールを活用して、健康な生活を目指しましょう!
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