近年、健康志向の高まりにともなってノンアルコールビールの需要が増えています。
大手メーカーをはじめ、さまざまなメーカーがノンアルコールビールの製造や販売に取り組んでいます。
しかし、「ノンアルコールビールで禁酒はできる?」、「妊娠中にはノンアルコールビールを飲んでも大丈夫?」といった点が気になる人も多いでしょう。
本記事では、ノンアルコールビールの危険性や目的に合った選び方などを解説します。お酒を控えようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
ノンアルコールビールの数少ない危険性やデメリット
ノンアルコールビールには大きな危険性はありません。しかし、以下の点には注意しましょう。
- 飲みすぎによる副作用
- 体に悪い添加物
それぞれ解説します。
飲み過ぎによる副作用
ノンアルコールビールを飲むと、つい食べ物を多く摂取してしまいます。特に脂っこいものや味付けの濃いものが欲しくなるでしょう。
しかし、脂っこいものや味付けの濃いものを食べ過ぎると肥満や高血圧などの原因になります。
また、「ノンアルコールビール」と記載されていても微量のアルコールが含まれている場合、飲みすぎるとアルコールを摂取してしまいます。
さらに、アルコール0.00%の飲料を摂取しても「空酔い」状態になるかもしれません。空酔いとは、脳が本物のアルコール飲料を摂取したと誤認し、顔が赤くなったり体がぽかぽかしたり、気分が高揚したりするなどの症状が表れる現象です。
体に悪い添加物
ノンアルコールビールにはビールよりも多く添加物が含まれています。
ノンアルコールビールに含まれる添加物のうち、代表的なものは以下の3つです。
- カラメル色素
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スクロースやグルコースなどの糖類を加熱して、苦みやローストしたような風味をつける。
- 人工甘味料(アセスルファムカリウムなど)
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科学的なデータに基づいて健康への悪影響はないとされている。しかし、過剰摂取や甘いものの摂りすぎには注意する必要がある。体重1kgあたり15mgが1日の適正量。
- 苦味料
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ほどよい苦みを与えて、ビールを表現する。カフェインやセスキテルペンという成分がよく使われている。
添加物が気になる場合は、無添加のノンアルコールビールを選とよいでしょう。
ノンアルコールビールのメリット
ノンアルコールビールには以下のメリットがあります。
- 安眠・リラックス効果
- アルコールの摂取量をおさえられる
- 新陳代謝の促進
ノンアルコールビールは、普通のビールのような健康への負担はとても小さく、健康効果の高い飲み物です。
安眠・リラックス効果
ノンアルコールビールには、安眠やリラックス効果が期待できます。これは、ホップに含まれる成分や麦芽に含まれるGABA(ギャバ)に鎮静作用や副交感神経を促す作用があるためです。
GABAは、人間の脳内にも存在するアミノ酸の1種です。
GABAを摂取した人は摂取しない人に比べて熟睡度が高まり、目覚めもスッキリするという研究結果も出ています。
アルコールの摂取量をおさえられる
アルコールの飲みすぎ防止にもノンアルコールビールは効果的です。
「TSUKUBA JOURNAL」では以下の実験結果が発表されています。
- アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人を研究参加者123人を介入群と対照群に分け、介入群にノンアルコール飲料を12週間提供した。
- 介入12週目時点における介入群の飲酒量は、介入前と比較して1日あたり純アルコール換算で平均11.5 g減少した。
- ノンアルコール飲料摂取量の増加と飲酒量の減少に相関が見られた。
この結果から、過剰なアルコール摂取をおさえる対策として、ノンアルコール飲料が有用だといえるでしょう。
新陳代謝の促進
ノンアルコールビールは、麦芽を原料として使用しており、ビタミンB群が含まれています。ノンアルコールビールに含まれるビタミンB群は、以下の通りです。
- ビタミンB1
- B2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ナイアシン
- ビオチンなど
ビタミンB群は、新陳代謝を促進する効果や美容効果が期待できます。
また、ビタミンB群に属する元素は単独で代謝促進効果をもたらすものではなく、互いに協働するものです。
ノンアルコールビールの原料である麦芽や酵母には、これらの元素がセットで含まれているため、まとめて摂取できるのは大きなメリットです。
ノンアルコールビールで健康的な飲酒習慣を作ろう
先述した通り、ノンアルコール飲料摂取量の増加と飲酒量の減少には相関関係が見られました。
そのため、休肝日を作るよりも、週に1回ノンアルコールビールを飲む日を作る方が飲酒量は減る可能性があります。
また、最近のノンアルコールビールは、味も本物にかなり近くなっているため、ビールを飲むときに近い感覚で楽しめるでしょう。
ノンアルコールビールの選び方
ノンアルコールビールにはたくさんの種類があります。
そのため、はじめて飲む人はどの商品を選ぶか悩んでしまうかもしれません。
ここでは、目的に合わせたノンアルコールビールの選び方を以下の通り紹介します。
- メーカーや銘柄で選ぶ
- ビールらしさを求めるなら海外産を選ぶ
- 味わいが気になるなら原料や添加物をチェックする
- カロリーや機能面をチェックする
- 妊娠中や運転時はアルコール度数が0.00%のものを選ぶ
それぞれ見ていきましょう。
メーカーや銘柄で選ぶ
普段決まったビールを飲んでいる人は、お気に入りのメーカーや銘柄のノンアルコールビールを選ぶのがおすすめです。
ノンアルコールビールは、メーカーごとに独自の製法を用いてつくられています。
また、各社の看板商品のビールに味わいを近づけているため、違和感なく飲めるでしょう。
大手ビールメーカーのものであれば、比較的安く購入しやすいのも魅力的です。
ビールらしさを求めるなら海外産を選ぶ
国産のノンアルコールビールは製造過程で発酵を抑制して作られます。
一方、海外産は通常のビールからアルコールを抽出しています。
海外ビールならではの個性が活きているため、味を重視して選びたい人には海外産がおすすめです。
なお、価格は高い傾向にあり、微量のアルコールが含まれるものも多いので、注意しましょう。
味わいが気になるなら原料や添加物をチェックする
先述した通り、ノンアルコールビールのなかには添加物を加えているものがあります。添加物によってビールの味わいに近づけているのです。
添加物特有の風味や雑味が苦手な人は、麦芽100%の商品を選びましょう。原材料名を確認し、麦芽・ホップ・水だけで作られたシンプルなものを探すのがおすすめです。
ただ、ビールの苦みが得意ではない人は、添加物入りのほうが飲みやすいかもしれません。また、添加物の種類によっても味わいが異なります。
さまざまな種類を飲み比べて、お気に入りを見つけてください。
カロリーや機能面をチェックする
健康志向の人は、カロリーや機能面に注目してノンアルコールビールを選ぶとよいでしょう。たとえば、ダイエット中の人はカロリーゼロや糖質ゼロのノンアルビールがおすすめです。
また、おつまみと一緒に晩酌する人はプリン体ゼロのノンアルコールビールを選ぶとよいでしょう。最近は「内臓脂肪を減らす」「尿酸値を下げる」「プリン体ゼロ」など、機能性をうたったノンアルコールビールも多く販売されています。
特定保健用食品(トクホ)指定のものや、機能性表示食品もあります。
ノンアルコールビールの健康面への影響が気になるという方は、特定保健用食品や機能性表示食品を選ぶのもおすすめです。
妊娠中や運転時はアルコール度数が0.00%のものを選ぶ
妊娠・授乳中にノンアルビールを楽しみたいときには、アルコール度数0.00%の商品を選択しましょう。
パッケージの裏面などを見て、アルコール分が確実に0.00%であることを確認してください。
また、アルコール度数0.5〜0.9%のローアルコールビールを飲んでから運転すると酒気帯び運転の対象となります。
アルコール度数が1%未満でも、個人のアルコール分解能力や摂取量によっては酔ってしまうので注意しましょう。
まとめ
本記事では、ノンアルコールビールの危険性や目的に合った選び方などを解説しました。
ノンアルコールビールには、普通のビールに見られる健康への負担はほとんどありません。
また、近年のノンアルコールビールは味わいがビールに近いものも増えており、違和感なく楽しめるでしょう。
麦芽・ホップ・水だけで作られた無添加のものを選べば添加物の雑味なども気になりません。
アルコール分0.00%のものであれば、妊娠中でも問題なく飲めます。
ノンアルコールビールを正しく理解して、宴会や晩酌を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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